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碁の方程式(概論編) サンプル

あとがき

【囲碁理論の7つのテーマ】

「碁の方程式」で述べる囲碁理論の骨子は、次の7項目です。

  1. 囲碁がどのようなゲームであるのか
  2. 勝敗は、どのようにして決着するのか。  (勝敗確定)
  3. 勝敗の逆転は、どのように生まれるのか。   (勝負手)
  4. 形勢判断はどのように判断するのか   (形勢判断)
  5. 着手価値、着手効率、勝負手との関係とは   (優位性)
  6. 対局において、どのよう対局意識が必要なのか。(対局意識)
  7. 囲碁での知識として勉強と、効果       (知識道具) 

本では、これらの項目についての原因解明を研究しています。

1 9つの特性

 最初に、囲碁のゲームルールから生まれる9つの特性を明らかにしています。さらにこ上記7項目の関係解明のために、@形勢を有利にする「構想、戦略、戦術、着手効率」、A相手の自由性つまり構想を制約することで得られる「先手の権利」などの関係、B効率を追及することで生じる「着手ミス」の危険性、C勝負に影響する「勝負手と勝敗確定」の関係を明らかにしています。

2 勝敗確定と勝負手

勝負の観点からみると、「勝敗の確定」という特性があり、「勝負手」の有無が問題になります。このため形勢が不利な場合には、勝負手をどの場所に求め、どのような構想によって逆転の可能性を大きくするのかが問題となり、逆に形勢が有利な場合には、勝負手を打たせず勝ちきる構想が実現できるかが問題になります。また形勢判断の妥当性と修考え方も、勝敗に大きく影響するといえます。

3 優勢性と制約条件

形勢を有利にする戦いでは、相手の自由性を制約することで構想の制限を行い、着手効率を高めることになります。戦いでは、互いに相手を制約するために、絡み攻めや見合い条件を活用し、そのための石の配置と強弱バランスが問題になります。

4 形勢判断

構想の制約という視点から効率を考えると、「地を囲う」「石を取る」という直接的に勝敗価値に影響する価値よりむしろ、勝負に勝つための「可能性」、「危険性」、「確定性」という間接価値が重要になります。こららの評価値は、全局的価値としての「関連性」「安定性」にどのように影響するのかがより大きな問題になります。

5 効果と損失

増加する効率より、着手ミスによる損失の方が勝敗に大きく影響することから、「攻める」というプラス効果と「着手ミス」でのマイナス効果の関係を明らかにする必要が生まれます。

6 攻める意識

「攻める」という言葉の定義によって、「戦う」という意識との違いが明らかになり、このことから、ゲームの本質ついての理解度の差によって、棋力測定が可能になります。また、対局における考え方の違いから、それが棋力として現れ、上達に影響していることがわかります。

7 学習目的

囲碁学習の目的の多くは、構想を立てるための基礎知識であり、手段としてのテクニックでしかなく、それを実戦で活用するには、構想力を養う訓練が必要であることが、理解できると思います。

  • 公理1 負ける原因は、着手ミスである。
  • 公理2 「攻める」ことでしか、勝つ可能性は保持できない。
  • 公理3 着手ミスは、咎められてはじめて、形勢差になる。
  • 公理4 構想ミスで相手に与える損失は、先手と連続性である。
  • 定理4 両者が最善手を打つと、互角の別れになる。
  • 定理5 悪手はゼロにできるが、構想ミスはゼロにできない。
  • 定理6 構想では、相手の構想を阻止することが優勢される。
  • 法則7 ミスの数は減らせないが、損失の大きさは減らせられる。
  • 法則9 「攻める」とは、相手の自由を制約することである。 
  • 法則10 勝負手は、いつも潜在的に最優先して意識している。

1 対局意識(攻める)

  1. 「攻める」意識がもっとも重要である。(例 攻めながら守る)
  2. 攻めることで、損失を小さくできる。
  3. 「攻める」ことでしか、勝つチャンスは生まれない。

2 構想力(戦う力)とは

  1. 自分から意図的に「地を囲う構想」は存在しない。
  2. 戦いのテクニックによって、形勢が有利になることはない。
  3. 厚みの活用能力の違いが、構想力の差になる、
  4. 構想力とは、戦いの選択能力のことである。

3 形勢判断

  1. 形勢判断は、自分の形勢が不利にならないよう注意している。
  2. 地合いによる判断は、形勢判断の判断材料の一部でしかない。
  3. 形勢判断の結果によって、構想は変更、修正される。

4 勝負について

  1. 勝負には、多くの予測不可能な偶然ミスが存在する。
  2. 偶然ミス、ゼロにはできないが、減らす(回避)ことはできる。
  3. 戦いは、ゲームとしての必要手段で避けられない。
  4. 戦いは、複数の同時進行の戦いが起っている。
  5. 戦の一時停止によって、攻めのターゲットが生まれている。

5 構想ミス

  1. 構想ミスとは、状況判断の選択ミスのことである。
  2. 構想ミスの原因は、見合い条件での優先ミスから起っている。
  3. 構想ミスとは、予定の構想が実現しない手を打つことである。

6 上達の学習

  1. 死活などの問題練習は、基礎能力を育成する手段である。
  2. 相当な知識量を記憶しないと、構想で活用することはできない。
  3. 対局では、攻める力と形勢判断の力を養うことができる。
  4. 碁の知識とは、戦いや構想のための「道具(武器)」である。
  5. ミスや悪手を打たなくなると、棋力が上がる。

1【強くなる】

強くなるには、攻める能力をつけ、勝つには、自分の着手ミスを減らし、相手のミスを咎める力が必要になります。つまり、「攻める」という考え方や「攻める能力の活用」が、囲碁の棋力のすべてであり、基本であることになります。

2【着手ミスを防止する】

「攻める」という意識を継続させることで、着手ミスをしても、それに対する対応が可能となり、「着手ミス」による損失を減らせることが可能になります。

3【攻めることでしか勝てない】

「攻める」勉強は、攻めるテクニックや戦略、戦術の問題ではなく、「構想力による攻め」を意味し、そのことによって勝つことも、上達することも可能になるのです。

4【定石などの知識】

布石、定石、中盤の戦いなどすべて戦いも、攻める考え方を基本にした研究成果になっているのです。

5【攻めの定義】

「攻める」いう考え方と着手効率との関係では、、「攻める」という考え方を、「相手の自由性を制限することで、相対的な着手効率が生まれる」考え方であると定義することで解決できます。

6【自由性の制限】

自由性の制限とは、地の可能性の領域を制限することであり、生きを制限することになります。その制限において、形の効率、厚みなど効率を考慮した構想が立てられています。

7【全局として見合いの効率】

全局的な見合いの効率を重視した「複数同時の戦い」を基本に部分的な効率は採用されています。例として、「隠れた天元の戦い」、「絡み攻め」などの関連性と安定性による戦いの結果によって、形勢が大きく開くことになるのです。

8【形勢判断と勝負手】

戦いの優位性、形勢の優位性をの判断は、「地の確定領域」と「勝負手の可能性」を考量しながら、最大争点となる領域を判断、次の狙いを重視した手が優先されます。

9【構想の修正】

構想の修正力と構想力とは、形勢判断によって取られると形勢逆転が起る勝負手の有無を判断しながら、検証チェックし構想の修正が行われています。

10【構想力の補正】

攻めることで生まれる有効性を保持しながら、逆に攻めることで生じる「ミスの危険性」を低減させる捨石やさばきのテクニックや知識によって、戦術としての構想力が生まれます。

<攻めの解釈とその意識>

  1. 一手の相対価値は非常に小さい。(250分の3目)
  2. 着手ミスが負ける原因である。
  3. 攻めなければ勝てない。「攻めの構想と重要性」
  4. 複数の戦いが同時進行する。 
  5. 安定性の崩壊は、必ずおこる。(危険性)
  6. 関連価値の効率<見合いの戦い>… からみ攻め 
  7. 着手ミスの損失を低減させる…棋力である。