碁の方程式
未来からの贈り物

碁は地を囲うゲームか、それとも石を取るゲームか

2013/05/08

石が囲まれれば、その石が取られる。子供でもこんな簡単なことはすぐに理解できる。

しかし、コンピューターに囲まれていることを教えるのは、そう簡単ではない。人間のように見た目ではなく、囲まれていることを数値で教える必要があるからである。つまりロケットの発射実験のように、「五」「四」「三」「二」「一」「零」で「零」になると、石が取られた状態へとする必要がある。

幸い、囲碁にはこの数と同じ意味の用語があり、それは呼吸点として数えるように教えられている。補足すると、石の取り合い(攻め合い)の戦いでは、盤上の中央に置かれた一つの石は、呼吸点が4である。石の戦いは、黒石と白石が接することで始まり、互いにその呼吸点が減っていくのである。そして零になると「盤上から取り上げられる」ことが基本ルールになっている。

この石を取るルールは、人間なら子供でも簡単に理解できる。また、高校生程度の能力があれば、コンピューターにそのことを教えるプログラムさえ作ることができる。

囲碁でも、上達や勉強過程において、挫折する箇所がいくつかある。それに代表例が、「地」とうい概念の理解である。コンピューターに「ここが地である」と教えることは、極めて難しい。

子供に碁を教える場合にも、
「ねえ、ここに打ってこないでよ」
「どうして、打ったらだめなの」
「ここは、僕の地だよ。だから打ってはいけないの」
それでも、意地悪をして打つなら、
「もうやめた」
といって、対局をやめてしまう。これが囲碁を教える場合の難しさである。

棋力が10級程度になると、「ここは地である」という共通の認識が生まれるので、このような問題も自然となくなるが、それ以下の弱い者同士では、これが、トラブルの原因となっている。