私が初めてプロ棋士について、本格的に碁を教わったのは、30歳にもなってからである。それは関西棋院のY先生であった。月2回、Y先生の自宅に通って教わった。
でもプロに習った理由は、よく見うけられる強くなりたかったからではなく、当時、あるきっかけで囲碁のパソコンソフトを作ることになったためであった。マサの当時の仕事は、ゲームのプログラマーであったのだか、ある日上司から囲碁ソフトの開発を命じられたのであった。
「マサ君、最近のゲームソフトの中で、対局できる囲碁のソフトが売れているよ」と急に言われたのである。
「へー、囲碁の対局ソフトですか。それを作って売れということですか」
「まあ君さえよければ、是非やってみて、いいのを作ってくれ。どのくらいの期間で出来そうか教えてくれ」
「おもしろそうなので、頑張ってみますが、果たして完成できるかの保証ができません。なので、まずは仕事ではなく趣味でということで、チャレンジさしてよろしいでしょうか」
「いいよ、頑張ってくれたまえ」
と簡単の引き受けたのはよかったが、当時のマサの棋力は2級程度。これではちょっと難しいと思い、その頃よく通っていた読売囲碁クラブに松本さんという方がおられたので、その方に頼んで、近くに住んでいるプロ棋士の紹介をお願いしたのである。
「誰か、個人的に教えてくれるプロの先生を紹介してくれませんか」と頼んだのがきっかけであった。その後Y先生の授業を3回ほど受けた頃に、「先生、パソコンで囲碁の教材を作りたいと考えているのですが、ご協力してもらえませんか」と話しを切り出した。
すると、「僕は、パソコンのことは全くわからないので、パソコンに関心のある友達のU君を紹介するよ」ということなり、ソフト作りは、U先生の監修で始まることになった。