全局的な手割論とは、地を囲って増やす理論ではなく、相手の地の可能性を減らし、相手の構想を制約する戦略として成立しています。なぜなら、ゲームとして自分の地を増やす効率より、相手の「地の可能性を減らす効率」の方が勝り、また手順が進行するほど、「地を減らす効率は低下する」という特性があるためです。このため、黒番の戦略としては、序盤の早い段階で「相手に地の囲い合いでは勝てない状況を作りだし、相手に消しの手(打ち込み)を打たせる」ことで、戦いの火蓋が切られています。この結果、黒番の勝負手、白番の勝負手、と交互に勝負手が打たれることで、形勢の均衡が保たれた状態で形勢の振幅を小さくしながら徐々に終局に向かっていくというのが、自然な戦いの流れの考え方になります。