碁の方程式
未来からの贈り物

電話がない

2013/05/10

一カ月が経ち、二カ月が過ぎ、三ヶ月を迎えても、マサからの電話がなかった。

「とうとう諦めたか。あいつの能力では無理だろう。学生時代の能力からすると、このあたりで対局ソフト作りとはサヨナラした方がいい」と瀬越が思っていたら矢先、マサからまた突然の電話が鳴った。

「おい、やっとシチョウのプログラムができだぞ」

マサの喜びと自慢が一緒の声である。

「へー、しばらく電話がないので、マサには対局ソフトは無理かと思ってたよ」
「やっぱり君もそう思っていたのか。実は、僕もそう思っていた」

作れないないと思ったのに、何とか作れたという。これは不思議な話であると思っていると、

「俺には作れなかったので、そこである日、知り合いの大学院生に頼んでみた。こいつ頭がよくて、なんとか作ってくれたよ」
「なんだ、お前が作ったのじゃないのか」
「でも、俺が作ったのと同じだ」
「どうしてだ」
「俺が、全く囲碁を知らない学生に、『シチョウの原理を詳しく説明してあげた』のでできたんだから、俺が作ったのと同じだと、おれは思っている」
「お前、どこまで自信家なんだ、ほんとにあきれるよ。でもいい友達や仲間を持っている運のよさは認める。ところで、どうしてそんなにシチョウが難しいかったのかい」
「そこなんだ、よくぞ訊いてくれた」

と、マサの声はちょっと嬉しいそうなになったのである。詳細はここでは述べない。なぜならは、その理由についてのやり取りが、その後2時間も続いたのであるが、結局のところその理由がよくわからなったからである。