隅での争点の重要性は、対局の初期において現れる定石が多いことからも容易に気づくことができます。これに反して、天元の戦いは、戦いの変化も多く、互角の別れという厚みの存在せず、互いに「相手が有利になることへの阻止行為」として打たれて実戦手順が進行しているため、争点であるということに気づけない場所になっています。
厚みの働きは、すでに出来た反対側の厚みの状況によって選択されていますが(※1)、これと同様の考え方は、天元の戦いにおいても同様に適応されているのですが、その選択基準が、定石の場合より複雑で、四隅と辺の関係によってその選択が行われています。このため、定石としての互角という形が存在しない領域になっているのです。
※1 厚みによる定石の選択は、「現代定石辞典」などの本に詳細に記述されていますし、多くの棋書においてその考え方が記述されています。