修正2 平成2210210時 

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16回 OFF資料 

2010115日(金)〜7日(日)


石の流れと構想についての勉強を、「勝敗の確定」と「形勢判断」、「着手効率」「碁の法則」の4つの視点を交えて考察し、勉強していきたいと思います。



一日目のテーマ 碁の基本法則と構想ミス 1時間

 数学には定理、公理があり、その法則体系によって理論説明がなされています。囲碁理論でも同様の法則があり、その法則によって構想ミスの原因を探ります。まず囲碁の法則を簡単に復習し(15分)、その後構想ミス(45分)について討議形式で考えます。


1 対局での構想や石の流れに関する法則(十二の法則)

 (1)目的達成スピード  (2)必然法則について (3)必然と勝敗確定 

 (4)攻めの目的と効率  (5)勝敗確定の法則

2 基本原理としての法則

1) 勝敗の確定性の増大  (2)危険性の増大減少  

3) 必然性の増大     (4)形勢状況と構想の選択

  1. 構想の中心と構想ミス

    1. 構想ミスとその認識レベル (2) 構想ミスの種類

3) 石の流れと次の狙いへの連続性



二日目のテーマ 全局的効率と石の流れ

囲碁の理論では、布石が終わったと思われる30手ほどの段階で理論的には勝負は確定しているといえます。ではどうしてそのようなことが言えるのでしょうか。またそれ以降の戦いはどのように展開しているのでしょうか、それが学習テーマになります。

1 勝敗確定の時期と棋力

2 戦いの進行と勝敗の確定

3 まね碁からわかる構想の重要性

4 形勢判断での着手評価の項目

5 勝敗確定と必然的な石の流れ


一日目の勉強テーマ  囲碁を理論的に理解する。

 数学には定理、公理があり、その法則体系によって理論説明がなされています。囲碁理論でも同様の法則があり、その法則を基にゲームの理論が解析できます。


1 基本原理としての13の定理

1)目的達成スピード

定理1 石を取るスピードより逃げるスピードの方が速い。

定理2 地を囲うより阻止するスピードの方が速い。

定理3 石を殺すより生きるスピードの方が速い。


2)一手の価値減少

定理4 地の可能性の減少によって、一手の価値は減少する。

定理5 手順が進行すると、一手の価値は減少する。


2) 勝敗確定の増大

定理6 危険性がなくなると、勝敗の確定性は増加する。

定理7 一手の価値減少によって、勝敗の確定性は増加する。

定理8 必然性の増大によって、勝敗の確定性が増加する。


3)危険性の変化

定理9 危険性の増大は、ヨセの直前まで増大し、その後に減少する。

定理10 危険性の回避行為によって、必然的な手が生まれる。

定理11 完全に石が生きると危険性はゼロになる。

定理12 戦いでの接触によって両者とも石の結合は強くなる。


2 構想要件の着手効率の重要法則(18法則)

1) 構想での優先

法則1 黒番で地を囲い合う構想は、コミが出せないので成立しない。

法則2 相手の石を攻める構想は、地を囲う構想より優先される。

法則3 攻めの目的は、相手の弱い石を攻めながら、自分の弱い石を強くすることにある。

2) 戦いの効率

法則4 戦いの基本的な流れは、隅→辺→中央→辺→隅の順で、進行する。

法則5 石が取られる原因は、「もたれ攻め」と「絡み攻め」によって生まれている。

定理6 戦いの天王山となる争点は、先手と連続性をえるために

  1. 中央を厚くする戦い。

  2. 相手を分断し、弱くする戦い。

  1. 着手評価の優先と変化

法則7 次の狙いの価値によって、着手評価が変わる。

法則8 自分の石を単純に守る手は、緩手で打てない。

法則9 ヨセでは、両先手、片先手、逆ヨセが優先される。

法則10 先手が連続手になると、着手評価は大きくなる。


4) 形勢状況と構想の選択

法則11 地合いが互角なら、先手の数の多い方が有利である。

法則12 形勢が良い側は、確定性を高めるように打つ。

法則13 形勢が悪い側は、確定性を阻止するように打つ。


5) 先手の法則(必然性の増大)

法則14 相手の危険性が増大することで、自分の後手が先手に変化する。

法則15 減らされてはいけない地があると、減らそうとする手が先手になる。

法則16 取られてはいけない石が生まれると、取ろうとする手が先手になる。


6) 勝敗確定の法則

法則17 「手順進行による価値減少」によって、勝敗が確定する。

     法則18  すべての石の死活が確定すると、勝敗も確定する。


3 構想ミスについて  (討議の研究メインテーマ)

1) 構想ミスとその認識レベル

布石が終わると、第1回目の勝敗確定の状態が起こります。ただしそれは理論上の確定であり人間が読みで確定できるレベルではありません。手順がさらに進行すると確定状態が増し、形勢判断によって、形勢が明確な状態なります。つまり片方の形勢が有利な状態になります。しかしこの状態になっても、その後の着手を100%正しく打つことはなかなかできません。黒白ともにミス手が打たれ、形勢がゆれて進行します。    

また着手ミスには、その認識レベルの違いによって次の二つがあります。

  1. 誰でもすぐわかる「認識容易なミス」

  2. 深い読みや法則を伴う「認識困難なミス」

があります。



2)構想ミスの種類

棋力差は、『構想力の差であり構想ミスによって生まれている』といっても過言ではありません。「構想なミス」が直感で気づけるようになることが上達目的になります。構想ミスには、

A) 構想通りに進行しているが、形勢が悪くなってしまった構想評価ミス。

    注:元の構想(方針)そのもの間違っていた。

B) 構想は正しいけれど、思った構想が構想実現きなかった手順ミス。

があります。

A) 構想評価ミス(認識レベルが高い)

構想そのもののミスは、全局的な石の流れが関係しているため、その原因を探るにはプロのお仕事であるといえるほど高度な技術が必要となります。また構想の勉強には、『囲碁理論の知識』が必要になります。それは例えば

  1. 攻める目的の認識  2 連続した価値の重要性 

3 悪手緩手の厳密な定義 4 戦いでの着手効率に関するの知識

などの知識です。


B) 構想手順ミス(認識レベルが低い)

手順ミスは、部分的な読みの力鍛えることで徐々に減少します。このミスがゼロになった人がプロ棋士の能力があるといえます。そのためには、死活のミス、攻め合いのミス、手筋のミス、連絡のミス、先手のミスなどを勉強によって減らす必要があります。


3)石の流れと次ぎの狙いへの連続性

石の流れの効率は、戦い連続性によって生まれています。戦いの連続性とは、

ステップ1 戦い開始前には、攻める側にとってもまだまだ弱い石であったものを、相手の弱い石を先に攻めることで自分の石を強くさせる

ステップ2 自分の石が強くなったことで、その周囲の相手の石が相対的に弱くなり、次ぎの攻め狙いが生まれ、攻め続けるように打つ

戦略のことをいいます。そのため、構想の前提条件としては、

1 次の狙いの有無   

   相手に弱い石があるか?    

2 次の狙が打てる必然性の大きさ

その石が取られると相手の負けが決定するか?

 3 連続した攻めが期待できる。

相手の弱い石を攻めなることで、自分の弱い石を強く安全にさせることができるか?

など3つの条件を考慮する必要があります。

二日目のテーマ 全局的効率と石の流れ

囲碁の特性では、布石が終わった30手の段階で理論的には勝負は確定しているといえます。ではどうしてそのようなことが言えるのでしょうか。またそれ以降の戦いはどのように展開しているのでしょうか、それが今回の学習テーマになります。

1 勝敗確定の時期と棋力

2 戦いの進行と勝敗の確定

3 まね碁からわかる構想の重要性

4 形勢判断での着手評価の項目

5 勝敗確定と必然的な石の流れ


1 勝敗確定の時期と棋力

囲碁では、布石が終わった30手前後の段階ですでに勝敗が確定するゲーム特性があります。ただそれは、神様のレベルの勝敗確定であって、プロ棋士であってもこの状態から100%勝ちきることはなかなができません。

勝敗が確定する時期は、対局者の棋力によって変化しています。その特徴として

  1. 対局者同士に棋力差があると起こりやすくなる。

  2. 対局者の棋力が低い人より、高い人同士の対局の方が起こりやすい

具体的な確定時期の目安として

神様クラスの確定..... 30手ほぼ確定
   プロクラスの確定..... 40から120手あたり確定
   高段クラスの確定.... 80手以降になると確定
   有段クラスの確定.... 100手以降になると確定
   級クラスの確定...... 150手以降になると確定
と仮説予想しています。棋力が低い人の場合に、このように確定時期が遅れるのは、

1 必然的な手が打てない。また連続した攻めの手が打てない。
  2 着手ミスが多いため、よい形勢であっても保持できない。
ことがその原因として考えられます。


2 戦いの進行と勝敗の確定

布石が終わった30手あたりの段階で、第1回目の「神様レベル」での勝敗確定の状態が起こります。しかそれでもその後を100%正しく打つことは困難で、黒白とも互い細かいミスとして悪手や緩手が打ちあい、ミスによって形勢も黒から白へまた白から黒へと変化します。このような形勢がゆれる状態が80手から120手あたりまで続き、勝敗の天王山の戦いとして、中央天元付近で黒石と白石とが分断しあう戦いに発展してきます。この戦いが終結しすべての石の生死が確定した状態になって終盤を迎え、それまでの戦果として先手や利き筋のなど多さと大きさが、ヨセ以降での地の増加に影響していきます。ヨセになると、勝敗の確定率は70%以上にまで高くなっています。そのためプロ同士の対局では、終局を待たずして投了となることがよく起こります。


3 まね碁からわかる構想の重要性

まね碁の研究からわかる重要な法則が2つあります。

法則1 地の囲いあいでは形勢差は生まれない。

法則2 天元付近が、もっとも勝敗を左右する戦いの場所になる。

次に、これらの法則の関連事項について少し詳しく述べます。


その1 「地の囲い合いでは形勢差は生まれない」ことから生まれる戦略

黒には6目半のコミの負担があるため、単純な地の囲いあいでは勝つことはできません。このため、地を囲い合う戦いではなく、「死活、攻め合い」の戦いによって地合い差を広げる戦略が必要になります。


その 「天元付近での戦いが、天王山の戦になる」ことから生まれる戦略

布石の最大目的は、勝負どころ(80手から120手付近で現れはじめる)として、天元付近で起こる戦いをいかに有利に展開できるかにあります。このため序盤の戦いは、この天王山の戦いへの準備作業といえます。そのためこの視点から構想パターンを分類すると、大きく3つに分類できます。

 パターン1 全体的に、両者とも弱い石や極端な厚みがないバランス均衡型
  パターン2 片方の地合い先行する地合い先行型 (薄いの石がある)
  パターン3 片方にのみ極端な厚みがある、厚み優先型

パターン1の争点は、天元付近での戦いになります。パターン2は、天元付近の戦いを避け、地合いで先行しながら優勢を築くという戦略になります。このため、戦いは、辺でから始まることになります。またパターン3の場合には、天元での戦いをより意識した戦略であるため、最も激しい戦いとなる傾向があります。


4 形勢判断での着手評価の項目

形勢判断は、部分的な着手価値の合計によって計算されます。そのため、その基本となる一手の着手要素の加算方法を知ることで、構想や石の流れの特性を調べることが可能になります。

形勢判断の基本となる計算式について考えると

計算式1 W= Σ 地の確定量 + 地の未確定量
計算式2 W= Σ 地の可能残存量 × 地の確定率
計算式 3 W= Σ 地の残存量 × 地の確定率
        + 相手の危険量 −自分の危険量

危険量 = 生きていない石数 × 生きるまで危険率
などで表記することができます。危険率は、利き筋、先手、連続性、眼形、地になる可能性などによって導かれる関数になります。


5 勝敗確定と必然的な石の流れ

勝敗の確定が起こる原因は、形勢が劣勢あるのに、その劣性を挽回する勝負手が打てない石の流れが生まれるのです。つまり
 1 大石が取られると負ける。
 2 石をとっても逆転できない。

状況になっています。


6 棋力という能力差

先手や連続手が打てるか能力は、「もし2手連打できたら相手の石が取られるか」の読みとから生まれています。連打されると取られる被害が大きい場合、相手はその危険回避のから受ける手を余儀なくされるためです。このためこの能力育成には、死活問題を解いて繰り返し練習することが必要であり、棋力が低い人は、死活の解答能力が低さが影響しています。


7 まとめ

連続した攻めの構想を、「石の流れによる戦略構想」と呼ぶことにしますが、この「石の流れによる戦略構想」の考え方は互先だけでなく置碁でも同様、非常に重要です。

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