「サマーディ (未来をかえる)」

不思議な出来事 (第三弾)


 私の偶然との出会いは、小学生時代にさかのぼる。
私は小学校2年生の時、全国の大手新聞社の社会面に「殺人事件・勇敢な坊や」という見出しで紹介された。  

 この事件は銭湯の帰りに起った。事件当日、日は既に暮れていた。私は「たすけてくれー」という叫び声に驚き、道の角を曲がると暗闇の中で人が倒れていた。私は無意識に、被害者の腹に刺さった出刃包丁を抜こうとしていた。しかし小さな子供の力ではどうする事もできなかった。

 私はすぐ隣の薬局店にかけ込んだ。そして出てきた店のおばさんに「人が腹を刺されて怪我をしている」と叫んだ。おばさんが「交番に行きなさい」と言ったので、私はすぐに交番まで駈けて行った。しかし交番には巡査がいなかった。しかたなく交番の近くで手を洗い家に帰った。家に帰ってしばらくすると警察や新聞社の人が大勢来たのを覚えている。

 当時の私には、何故その人達が家に来るのか理解できず不思議に思っていた。 
翌日になって自分の事が新聞に書かれているのを知って驚いた。そしてその記事が自分の実際の行為より、なにか英雄めいて書かれていたのだ。そして新聞というものが「嘘」を平気で書く事に、嫌な気持ちを感じた。

 ただ、この事件の間、少しも恐怖心がなかった事だけは覚えている。  この偶然の事件は、私に新聞報道というものに対する不信感を植え付けた。人は私を、勇敢な坊やと呼びほめたたえたが、私はそう呼ばれる事が嫌であった。 この事件が、以後の人生に大きな影響を与えたかどうかは知らないが、自分自身が思っている自分と、世間が自分に対して抱いたイメージの違いだけは強く感じた。勇敢な子供は、恐怖を知らない無知な子供であった。


次回予告
簡単な私の紹介から予言との出会いをお話したいと思います…



不思議な出来事を読んだ感想は…?

   
上のボタンをクリックしたときに「メッセージの作成」が
表示されましたら、お手数です「件名」のところに
「不思議な出来事」と記入して感想を送信してください。


続きを見る


メニューに戻る