囲碁による創造性教育(要約)

 

菅野礼司

1.創造性に必要なもの

(i)創造性とは

創造性は他の人の考え方と異なる発想と思考法であり、それまでになかった物事や制度などを創り出す能力である。

(ii)創造性に必要な条件

■ 空想力

創造には既成に囚われない発想と新しいものへ挑戦する気質と勇気そして
イマジネーション(想像力)が必要である。

■ 総合的判断力

総合的判断力が無ければ、「創造」はできない。総合的判断は、全体を見てその仕組みを考えたり、幾つかの物事を関連づけ、一つ高いところから統合することである。

■ 構想を実現する基礎知識

物事を深く考え、空想を現実化するには、その空想に関するいろいろな基礎知識をしっかり身に付つける必要がある。

■ 集中力の養成

創造性には、一つのことに真摯に長期間取り組む姿勢が不可欠である。
天才は「99%の努力と1%のインスピレーションだ」といわれている。

2.囲碁に期待できる創造性教育

3.創造性を養う囲碁のゲーム特性

(1)石(駒)の平等性:

石の役割(働き)が、打たれた盤面の状況と場所によって決まる。

(2)ルールの単純さ:

石の機能に区別はなく、打つ場所も自由。工夫できる自由度が大きい。

(3)無から出発する構築型:

ゼロの無から出発し、構想を立てながらゲームが進行する。
石に個性や役割を与えるのは、全て打ち手の自由意志と構想である。

(4)生物的流動性:

一手ごと盤面は変化し発展・複雑化する。それはまるで、生物が環境から情報を採り入れつつ、進化するサイバネティクス的な行動パターンのように流動的である。

(5)変化の多様性:

変化できる可能性が大きく、多様な着手選択が可能となる。しかも、部分から全局へと、その価値観は発展し、次第に複雑化する。

 


    ※ 詳細は、雑誌エストレーラ9月号に掲載予定