まえがき
隠れた天元の戦い 囲碁の研究とは、ゲームでの勝敗原因を科学的に明らかしようとする学問である。 近年の研究成果として、その勝敗原因が「隠れた天元の戦い」にあることがわかってきた。しかし、そのことは現役プロでさえ、気づく者は少ない。そのような戦いが存在することにさえ、十分に理解できていない。
第1部
- 戦いの流れ
- 隠れた争点
- 中央の戦いに強い者が強い
- 争点となる領域の意識
- 天元の領域の特性
- 天元での戦いを有利にする
- 構想と厚みの評価
- 構想の自由性と着手の制限
- 厚みとは
- 厚みの選択と効率
- 天元の戦いの重要性に気づけない理由(その1 定石がない)
- 天元の戦いの重要性に気づけない理由(その2 意識がない)
- 形勢の判断評価と構想
- 権利の先手
- 悪手と緩手
- 戦いの原因(構想の制約)
- 直接的制約と間接的制約
- 消しに対して、消しで反発する
- 全局的な手割論 条件その1
- 消しの手の減少と「権利の先手」の増加
第2部 基本ルールと特性(制約条件)
囲碁のゲームの特性は、「交互に打つ」「盤の広さが19路である」「死活がある」「コウがある」の4つのゲームルールが基本になって生まれています。この中でも前半の3つがその基本になります。そして、難解なゲーム性にもっとも影響しているのが、なんと不思議なことに「交互に打つというルールなのです。